2020年6月1日の日記

昼、私用で鶴舞公園の近くへ来たのでちょっと立ち寄りました。

ベンチに腰掛けると鳩がやって来ました。
鳩は、私が腰掛けたのと同じベンチの端に乗っかって目配せしている。
その目は「お昼を一緒に食べようよ」と言っているように見えました。
鳩はきっと、私が食べ物を持っていて自分に分けてくれるかもしれないと思っているでしょう。
私はコンビニで買ったペットボトルを取り出して鳩に見せた。ジャスミン茶です、と。
そして「私はこれしか持ってないので、どうかほかを当たって欲しい」という意味の、下手なテレパシーみたいな気持ちを送りました。
でも鳩は諦めなかった。うろうろして、目配せした。
「そんなことないよ。お昼を一緒に食べようよ」と言っているように見えました。
そんなことないも何も、私は本当に食べ物など何も持ってなかったので、その後はもう鳩をそっとしておきました。
でも鳩は諦めなかった。身を乗り出して、目配せした。
「そんなことないよ。ね?お昼を一緒に食べようよ」と言っているように見えました。

目配せする姿はかわいいので、私はスマホのカメラ機能を立ち上げて鳩に向けました。
それに対して鳩は「ううんそういうのはいらない。お昼を一緒に食べようよ」と言っているように見えました。
私はとにかくもう鳩をそっとしておきました。

鳩はしばらく私の視界の端でうろうろすることを繰り返しつつも、やがて去りました。
ほっとして顔を上げると、しかし別の鳩が目配せしていました。
「そろそろお昼を食べますか?」と言っているように見えました。
私は少し疲れを感じて、今度はもう最初から鳩をそっとしておきました。

ときどき当然通じ合えないものです。