絵と文25/「月草のこと」2018年

月草はすごい草。
何世代も前から空の月にあこがれている。
もともとは皆今とは違う形をしていたし、
人から呼ばれる名前もまったく違った。
でもいつからか、彼らは大草原で夜出会う月のまねごとを始めたのです。

月にあこがれるあまり、例えば、姿をいろいろに変えてきた。
新月というものが理解できなくて、芽を出さなくなったりした。
細い月のようにはなれなくて、しおれたりした。
文字通り、突然に変異して発光さえした。
そしてだから、より月とは異質の存在になりました。
でも名前は月になれました。

月草が今後どうなるのかはわかりません。
月にあこがれつづけるにしろ、
あこがれるのをやめるにしろ、
好きにするのだろうと思います。


個展「しずかな部屋」at Gallery Iさん より
「月草の鉢植え」2018年8月
サイズ/254×203mm
画材/水彩紙、墨汁、アクリル絵具

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