2021年7月18日の日記

数日前、私はコーヒーメーカーにビーカーを設置せずにコーヒーを淹れました。香り高く、当然床へこぼれおちるコーヒー。愕然としました。
私はこの自分のミスが、かつて勤務先でしたどのミスよりもショックだった。いかにもミスしそうな場面でしたミスであればまだいいのです。しかしこの、受け皿たるビーカーが明らかにそこにない状態を目にしておいてコーヒーメーカーのスイッチを押すなんてミスは、ミスではありません。おかしなことなのです!

その日の夜、私は窓辺で一人、そっと落ち込んだ。昨今、理解しがたいことは世の中にたくさんあるけれど、私は人のことは言えない。私は自分のことも理解できない。この日の行動は特に理解できなかった。
コーヒーメーカーのスイッチを押したときのことを思い返してみました。私はあのとき、確かに考えごとをしていた。ケーリュケイオンの蛇を私好みの顔にしてみたらどうなるだろうと想像していた。
ケーリュケイオンとは二匹の蛇が巻き付いている杖のことです。日本では主に商業のシンボルとして商業学校の校章に使用されています。
その杖の蛇を自分好みの顔にしてみたら、当然かわいい杖になりますよね。なにせ自分の好みに合うのですから。ですから想像した杖に対して思わず笑みがこぼれました。ですが、ケーリュケイオンの蛇を自分好みの顔にして想像するという作業が人生において必ず必要な作業だと思われますか?必要ないことなのです!そんなことよりビーカーを、しっかりと、目の前のコーヒーメーカーに設置してスイッチを押すことこそ、人生において必ず必要な作業なのです。

それでは私は今から、気を付けてコーヒーを淹れます。


ケーリュケイオン…
ギリシャ神話のヘルメス神が所持する杖。ラテン語でカドゥケウス。